痛みの原因

痛みの原因の多くは筋膜性疼痛です。筋膜性疼痛症候群(MPS)は、「筋膜のトリガーポイント(TP)によって起こる知覚症状・運動症状および自律神経症状」と定義されています。
TPとは、圧痛点の中でも、痛みの発生源となる場所を指します。TPを刺激すると他の場所にまで響く感覚があり、そこから離れた部位に痛み(関連痛)を感じることもあります。また、TPが頭痛や眼痛、腹痛・胸痛・骨盤痛など内臓の痛みの原因となるばかりか、めまいや耳鳴、胃炎や逆流性食道炎、膀胱炎や過敏性腸症候群、子宮内膜症や前立腺炎とよく似た自律神経症状を引き起こす事も知られています。最近では、筋肉のみならず骨膜・腱・靭帯・関節包・脂肪組織・皮膚などの組織にもTPが存在すると考えられ、
 「MPSとは、特定の場所に痛みの発生源があり、これが原因であちこちが痛んだり、思わぬ症状を引き起こす可能性のある病気」
 と考えると解りやすいでしょう。
残念ながら、これらの機序についてのエビデンスは確立されていません。痛みやそれに伴ういろいろな症状は、天候にも左右されますし、生活習慣や家族関係、利害関係や職場の人間関係などの心理・社会的因子などが絡み合った「複雑系」と考えられています。複数の原因が複数の結果をもたらしたり、一見何の繋がりも無いような要素が症状の原因となったりするためです。
脊椎の変形やヘルニア、関節の変形が、必ずしも痛みやしびれの原因とはならないという考えが、少しずつ普及してきましたが、その結果、腰痛の80%が原因不明、よって、脳・神経や心のせいだとする風潮が主流となっているかに見えます。しかし、まず、痛みの履歴を最初から聞き取る。痛い場所に触れて、動かしてみる。生活習慣を読み解く。これだけで、わかるはずの病気があることを、知っておきましょう。